刑事弁護の基礎知識

被疑者弁護(起訴前弁護)

捜査機関(警察・検察庁)が被疑者を逮捕した後、72時間以内に、検察官は、被疑者を釈放するか、勾留を裁判所に請求しなければなりません。

勾留機関は、原則10日間で、捜査の必要性があれば、さらに10日間延長を裁判所に請求することができます。

勾留期間が満期になると、検察庁は、被疑者の処分を決めなければ行けません。大きく分けて、起訴するか、略式起訴(罰金刑の請求)か、釈放するかを決めなければなりません。

刑事手続の帰趨は、この段階でほとんど決まってしまうため、この起訴前の弁護活動は非常に重要です。弁護人を選任する場合は、1日でも早く弁護人を付けることが重要です。刑事弁護は、スピードが何より大切です。


刑事弁護は、早い時期から行うことがとても重要です。
お早めにご相談下さい。

否認事件

この段階で、罪を認める調書(自白調書)を取られてしまうと、後から、「警察官に無理やり罪と認めさせられた」と弁解しても、なかなか、裁判官は取り合ってくれません。

黙秘権を行使するなどして、やってもいないことをやったと言わないようにすることが非常に重要です。「やってもいないことをやった」と言うはずがない、と言う人もいますが、そうした事態が頻繁に起こっています。

示談交渉

被害者がいる事件、例えば、「傷害」や「強盗」などの事件の場合は、起訴前の段階において、示談が成立し、宥恕(許すこと)してもらえれば、不起訴になる可能性が高いです。

また、「器物損壊」などの親告罪(被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪のこと)の場合、示談が成立し、告訴を取り消してもらえれば、不起訴となります。

親告罪の具体例:強制わいせつ罪、強姦罪、未成年者略取・誘拐罪、名誉棄損罪、侮辱罪、器物損壊罪

但し、逮捕後、起訴・不起訴を決するまで、最大で23日間しかありません。被疑者弁護はまさに時間との戦いです。

起訴後弁護

被疑者が、検察官に起訴されると、「被告人」と呼ばれる身分になります。

保釈

起訴後は、「保釈」の制度があります。当事務所は、積極的に保釈の申請も行います。保釈を許可してもらうためには、最低でも150万円程度の保釈金が用意できること、身柄引受人がいることが必要になります。

ただし、保釈申請をすれば、必ず認められるものではなく、「罪証隠滅の恐れ」「被害者等に危害を及ぼす恐れがある」場合等には、保釈は却下されます。現状では、裁判所は、特に「罪証隠滅の恐れ」というものを非常に簡単に認めてしまう傾向があります。

保釈申請が通る可能性があるかについては、弁護士にご相談下さい。

公判における活動

起訴事実自体に争いがない場合は、情状弁護となります。情状証人との打ち合わせや、被告人との打ち合わせを行います。

起訴後も示談が成立すれば、有利な情状として扱われます。但し、示談が成立したからといって、起訴が取り消されることはまずありません。示談交渉は、起訴前に済ませることが理想です。

起訴事実を争う場合、すわなち、「否認」事件の場合、弁護活動の手法はいろいろありますが、上述のとおり、その帰趨は、起訴前の段階で既に決まっています。検察庁は、有罪にする自信のある事件に絞って起訴をしています。

だからこそ、被疑者弁護(起訴前弁護)が非常に重要なのです。

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